2015年3月20日金曜日

シンポジューム「医薬バイオ産業イノベーション: 革新力強化への課題 JSTプロジェクトからの示唆」を開催しました



 2015年3月19日、シンポジューム『医薬バイオ産業イノベーション: 革新力強化への課題 JSTプロジェクトからの示唆』が一橋講堂中会議室1, 2 にて開催されました。

 本シンポジュームの目的は, 平成23年11月より平成27年3月まで行われたJST/RISTEX 研究開発プロジェクト『イノベーションの科学的源泉とその経済効果』における知見を広く社会に対し明らかにすることで、産業政策および科学技術政策によるライフサイエンス産業の振興策、ひいてはイノベーション創出の在り方を検討することです。そのため、本シンポジュームでは以下の4つのセッションが行われ、それぞれ活発な議論が行われました。


(左から) 長岡IIR教授, 一橋大学経済学研究科岡室教授、
学習院大学西村准教授、経済産業研究所山内研究員


第1セッション:  イノベーションの科学的な源泉と知識の波及効果:知識フローの把握 では、特許や論文の書誌情報やサーベイ調査を用いたイノベーションプロセスの測定手法について、原IIR特任助手、山内研究員、西村准教授が報告を行いました。


革新的医薬の科学的な源泉とその波及効果の把握:事例研究から原 IIR特任助手


“The use of science for inventions and its disclosure: patent level evidence matched with survey”山内 研究員


「イノベーションの科学的な源泉と知識の波及効果:知識フローの把握へのコメント」文部科学省科学技術・学術政策研究所伊神正貫主任研究員




第2セッション:  バイオスタートアップの科学的源泉とファイナンス  では、バイオスタートアップの課題について神戸大学大学院経済学研究科中村准教授、中央大学商学部本庄教授両名が報告を行い、経済産業省新規産業室石井氏、日本大学経済学部准教授宮川氏が研究発表に対するコメントを行いました。

(左から) 清水由美バイオインダストリー協会事業連携推進部 主任, 石井芳明経済産業省 新規産業室,新規事業調整官 本庄裕司中央大学商学部 教授, 中村健太神戸大学大学院経済学研究科准教授



第3セッション:  サイエンスと革新的医薬の探索と開発:日本の革新的な医薬の事例研究からの示唆 では、日本で研究開発が行われた革新的医薬の事例研究について長岡IIR 教授, 神戸大中村准教授および元バイオインダストリー協会河部副部長が科学的源泉の役割および知的財産の役割に係る報告をそれぞれ行いました。

これを受け、日本の革新的医薬の研究開発プロセスにおいて重要な役割を果たした三名の開発者からコメントをいただきました。


(左から) 遠藤章東京農工大学 特別栄誉教授一橋大学イノベーション研究センター 客員教授/井村良視武田薬品工業株式会社医薬研究本部リサーチマネジャー/大杉義征一橋大学イノベーション研究センター特任教授


遠藤章東京農工大学 特別栄誉教授/一橋大学イノベーション研究センター 客員教授による「スタチンの開発から学んだこと」、井村良視武田薬品工業株式会社医薬研究本部リサーチマネジャーによる「アンジオテンシン II 受容体拮抗薬 (ARB)の発見とブロプレスの開発」、大杉義征一橋大学イノベーション研究センター特任教授による「アクテムラの経験とコメント『日本発(初)の抗体医薬品』~不確実性、産学連携、競争~ 」と題し、それぞれの医薬品開発における経験談、今後のライフサイエンス産業への示唆など多くの示唆に富む意見を伺うことができました。

遠藤章東京農工大学 特別栄誉教授一橋大学イノベーション研究センター 客員教授 (一番左)

井村良視武田薬品工業株式会社医薬研究本部リサーチマネジャー(左)/大杉義征一橋大学イノベーション研究センター特任教授(右)


第4セッション  新薬開発におけるサイエンスと先行優位性、不確実性、及び規制:
         医薬品探索開発プロジェクトの大規模サーベイからの示唆 では、本研究プロジェクトにおいて実施した医薬品サーベイ調査について、長岡IIR教授および学習院西村准教授が報告を行いました。また、報告に対し産業界での課題について日本製薬工業協会研究開発委員会産学官連携部会長川上善之氏が、政策的な課題について河野典厚厚生労働省医政局 治験推進室長がコメントを行いました。

源田浩一日本製薬工業協会医薬産業政策研究所元主任研究員 (左)/河野典厚厚生労働省医政局治験推進室長 (右)



川上 善之日本製薬工業協会研究開発委員会産学官連携部会長


最終セッションでは、これまでの研究報告および議論を踏まえ、科学技術政策および知的財産制度の観点から、赤池伸一科学技術・学術政策局企画評価課分析官および岡田吉美一橋大学イノベーション研究センター教授からそれぞれコメントをいただきました。


赤池分析官によるコメント「科学技術イノベーション政策の立場から」

岡田教授によるコメント「知的財産制度の立場から」


 当日は50名を越える参加者にお越しいただき、盛況の中会を終えることができました。本シンポジュームの開催に際しご協力いただきました科学技術振興機構社会技術研究開発センター、日本製薬工業協会医薬産業政策研究所およびバイオインダストリー協会の皆様には厚く御礼申し上げます。

 本研究開発プロジェクトの研究開発期間は本月で終了しますが、本プロジェクトを通じ得られた知見の数々は今後ワーキングペーパー、学術論文、学会報告、書籍等を通じ明らかにしていく予定です。



(文責・原)

2015年3月17日火曜日

【お知らせ】第3回一橋ビジネスレビュー・スタディセッション

第3回一橋ビジネスレビュー・スタディセッション

開催日時: 2015年4月1日(水)19:00-20:30

内容:
『一橋ビジネスレビュー』では、年4回の発行にあたり、読者にじっくり3カ月かけて読んで頂くことを念頭に、巻頭特集をはじめとするコンテンツの編集に努めております。コンテンツの内容に関する読者のご理解をより深めて頂くことを目的として、各号発売後に、読者勉強会(スタディセッション)を開催することになりました。有料のイベントです。第3回では、『一橋ビジネスレビュー』2015年春号特集「デザインエンジニアリング」の総括と、特集を執筆された下記2名の講師が論文の解説と論文に書ききれなかった内容について講義をします。ご参加をお待ちしております。

講師:
○延岡 健太郎
 一橋大学イノベーション研究センター長・教授、2015年春号特集の編者および執筆。
 「デザイン価値の創造― デザインとエンジニアリングの統合に向けて」

○鷲田 祐一
 一橋大学大学院商学研究科 准教授、2015年春号特集の編者および執筆。
 「デザイナーの役割分担について国際比較で見た相対的特徴 ― 日米中比較調査の結果より」


会場: 学術総合センター(東京都千代田区)にて開催。
     詳細は受講票にてご連絡させていただきます。

その他詳細およびお申込は下記のサイトをご覧ください。


お問い合わせ先:
ビジネス・フォーラム事務局(本スタディ・セッション企画運営担当) 03-3518-6531

2015年3月13日金曜日

【一橋ビジネスレビュー】 2014年度 Vol.62-No.4

2014年度<VOL.62 NO.4> 特集:デザインエンジニアリング
 「機能か、デザインか」の二者択一ではない









12・3・6・9月(年4回)刊編集
一橋大学イノベーション研究センター
発行 東洋経済新報社


特集:
製造企業が自社製品の顧客価値を高めるためには、ものを創る技術(ハードとソフト)だけではなく、ユーザーインターフェース、デザイン、広告といった機能を統合して創り込むマネジメントが重要になっている。これは、ものづくり分野とクリエーティブな分野の統合によって価値を創造することであり、その統合的な顧客価値を「デザイン価値」と呼ぶ。このデザイン価値を創り出すには、デザインを重視するというよりも、デザインとエンジニアリングを真に融合させた経営が製造企業には求められることになる。本特集では、デザインとエンジニアリングの統合に関するアプローチについて多様な角度から論じ、この統合的な顧客価値創造のあり方を考察する。

特集論文Ⅰ デザイン価値の創造―デザインとエンジニアリングの統合に向けて
延岡健太郎/木村めぐみ/長内 厚
(一橋大学イノベーション研究センター長・教授/一橋大学イノベーション研究センター特任講師/早稲田大学ビジネススクール准教授)
デザインは、ものづくりにおける顧客との接点として製品の価値を創り出す。この価値を「デザイン価値」と呼ぶとすると、高度なデザイン価値を創出するためには、デザインとエンジニアリングの真の融合が必要となる。今、日本の製造企業に求められているのは、その融合に向けた取り組みであり、マネジメントだといえる。本稿では、革新的なアプローチによってデザインとエンジニアリングの統合を実現し、デザイン価値の創出に成功しているイギリス企業のダイソンへの聞き取り調査や、デザイン価値創出の担い手となる「デザインエンジニア」を育成するイギリスの大学の教育プログラム調査を行った。これらの調査結果の考察と、日本でもデザイン価値経営に成功していたソニーの事例研究を通じ、今後日本の製造企業が取り組むべきデザイン価値経営や、日本のイノベーションのために必要な人材育成のあり方を示唆する。

特集論文Ⅱ デザインエンジニアリングの時代
山中俊治(東京大学生産技術研究所教授)
いつの時代も、イノベーティブなものづくりはデザインとエンジニアリングの密接な連携によって生まれてきた。にもかかわらず近年、デザインエンジニアリングという言葉が頻繁に使われるようになった背景には、20世紀の資本主義産業社会において主流であった「形と機能」を分離して専門家に委ねる開発手法の限界が露呈し、ネットとファブを足がかりに、まったく新しいクリエーターたちが台頭してきたことがある。新世紀のデザインエンジニアたちは、芸術と科学の領域の壁を越えて、先端技術の夢をリードするプロトタイピングにまい進する。いまや経営においても、科学的合理性と美的感覚をあわせ持つデザイン・エンジニアリング・マインドが必要とされている。

特集論文Ⅲ デザインエンジニアリングの実践
田川欣哉
(takram design engineering 代表・Royal College of Art客員教授)
デザインエンジニアは、新しい製品、新しいサービスなどを立ち上げることに特化した新しいタイプの人材である。デザインエンジニアは、不明瞭な状況のなかにおいても、手探りのなかから確からしい仮説を構築し、それをプロトタイプで実証し、ストーリーで補強する。そして、そのサイクルを高速に繰り返すことで、短時間でコンセプトや設計の品質を上げていく。デザインエンジニアは、イノベーションを生み出す現場に貢献する新しい人材の姿を提示している。


特集論文Ⅳ デザイナーの役割分担について国際比較で見た相対的特徴―日米中比較調査の結果より
鷲田祐一
(一橋大学大学院商学研究科准教授)
デザインとエンジニアリングの融合を考える、デザインエンジニアリングの研究分野において、デザイナーがビジネスプロセスのなかでどのように他の部門や部署と役割分担をしているのか、その役割分担について国ごとに相違はないのか、という視点については、意外にも今まであまり深く検証・議論されてこなかった。役割分担の構造が国ごとに違えば、「デザイン」という言葉の含意も違う可能性があり、国際的競争を前提にした経営上の示唆や手法の導入においても齟齬を生む危険性がある。本稿では、日米中の3カ国のデザイナーへの比較調査を通じ、国際間でビジネスプロセス上の「デザイン」の位置づけ・役割分担に、違いが存在することを検証した。日本のデザイナーの相対的な特徴を浮き彫りにすることによって、日本のデザインの隠れた強み・弱みが見えてきた。

特集論文Ⅴ 技術も生み出せるデザイナー、デザインも生み出せるエンジニア―デジタルカメラ分野におけるデザイン創出に対する効果の実証分析
秋池 篤/吉岡(小林)徹
(東京大学大学院経済学研究科経営専攻博士課程/東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻博士後期課程)
インパクトのある工業デザインの開発に、新たな技術は必要なのだろうか。必要であるとして、どの程度デザイナーが技術部門と関与していることが望ましいのだろうか。本稿では急激な成長を遂げたデジタルカメラ分野に焦点をあわせて、特許・意匠のデータによる実証分析と、カシオ計算機の事例研究を行った。その結果、自社に培われた新技術がインパクトのあるデザインを生み出すもととなっていることがわかった。しかも、インパクトのある技術の創出があまり行われていない場合では、デザイナーが自ら研究開発に携わることが優れたデザイン創出に効果があることも明らかになった。

特集論文Ⅵ 工学を人間らしくデザイン知識
永井由佳里
(北陸先端科学技術大学院大学知識科学研究科研究科長・教授)
工学(エンジニアリング)は、そもそも人間を超越することを志向したものといわれる。しかしながら、「人間性」を機軸にすると、これまでエンジニアリングで見えなかったものが見えてくる可能性がある。本稿では、統合的なデザインエンジニアリングのマネジメントに資する技術知識として、人間らしさを反映するデザインについて検討する。これからの社会で求められる「人間に寄り添う」デザイン像を捉えるために、デザイン研究の知見(理論・方法論)を取り上げる。そこでは、顧客価値の創出に成功した事例をもとに実社会で通用している、「デザイン知識」としてのデザインの方策やメソッドなどが基盤となる。デザイン知識を使えばエンジニアリングはもっと人間らしいものになるだろう。

[経営を読み解くキーワード]
ワークショップ
梅津順江
(株式会社ジャパン・マーケティング・エージャンシー 定性調査部 シニアディレクター)

[技術経営のリーダーたち] 第23回 
デザインの重要性が増すなかで、技術のわかるデザイナーを育てることが求められている 
武井浩介 
(TOTO株式会社 デザイン本部 デザイン本部長)

[ビジネス・ケース]
カシオ計算機―「G-SHOCK」製品開発とブランド構築の歴史 
谷川邦夫/田路則子
(法政大学大学院経営学研究科経営学専攻マーケティングコース修士課程修了/法政大学大学院経営学研究科教授)
カシオ計算機が販売するクオーツ式腕時計「G-SHOCK」。日本国内において95%という驚異的な認知度を誇る、カシオ計算機の代名詞ともいえる時計ブランドである。1983年の発売当時、日本の腕時計市場は「軽・薄・短・小」がトレンドであった。それとは相反する、ごついデザインのG-SHOCKはまずアメリカで火がつき、日本、さらにはヨーロッパ、アジア圏でも人気を博すようになった。世界でこれまで累計6000万本以上を出荷した時計ブランドは、いかにして作られたのか。技術の発明から製品化、さらにはグローバル&ローカル(グローカル)のお手本ともいうべきマーケティング戦略に迫る。

[ビジネス・ケース]
日東電工―逆浸透膜市場におけるシェア逆転のプロセス
藤山圭
(一橋大学大学院商学研究科博士後期課程)
純水と食塩などの溶液を半透膜で区切ると、純水側から溶液側に半透膜の孔を通じて水の分子が引っ張られる。その際に純水側から半透膜へかかる浸透圧以上の圧力を溶液側からかけると、水の分子は半透膜の孔を通じて溶液側から押し出される。この原理を利用して水をろ過・精製するのが、逆浸透膜技術である。特に、同技術が用いられる場面で注目されているのは、海水から塩を分離して飲料用などの淡水を造り出す市場だという。本ケースでは、日本のメーカーが逆浸透膜技術によって、世界の海水淡水化用逆浸透膜市場の7割近くを占めるに至った過程を振り返りながら、当初技術的に劣位にあった日東電工が、日本のトップメーカーだった東レにどのようにして追い着き、近年海水淡水化用逆浸透膜市場において揺るぎない高い競争優位を築き上げることができたのか、その理由について、同社のユニークな事業展開に関する経営戦略に焦点をあわせて考察する。

[連載] 経営学への招待 第4回 (最終回)
経営の日本的特徴は消えるのか―「会社の二面性」が示唆する展望
榊原清則/青島矢一
(中央大学大学院戦略経営研究科教授/一橋大学イノベーション研究センター教授)

[コラム] 経営は理論よりも奇なり 第5回(最終回)
経営者の虚像と実像
 吉原英樹 (神戸大学名誉教授)

[マネジメント・フォーラム]
インタビュアー/延岡健太郎・鷲田祐一・木村めぐみ
すべてのデザイナーに、高いビジネス、企画、エンジニアリング能力が求められる時代になった。   経営者もデザイナーのごとく考えることが必要だ
深澤直人
(プロダクトデザイナー)

[私のこの一冊]
■アントレプレナーシップの神髄を見る――司馬遼太郎『空海の風景』(上・下)
 各務茂夫 (東京大学教授 産学連携本部イノベーション推進部長)
■マーケティングのビギナーズガイド――佐伯啓思『「欲望」と資本主義』
 木村純子 (法政大学経営学部教授)

[ポーター賞受賞企業に学ぶ]第14回 
大薗恵美 (一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授)

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2015年3月12日木曜日

【イノベーションフォーラム】2015.4.8 水野 由香里

イノベーションフォーラムのお知らせ 2015年4月8日

テーマ:
「中小企業のイノベーション・マネジメント」

講演者 :
 水野 由香里(西武文理大学 准教授)

日時:
2015年4月8日(水) 12:15~13:45(昼食持ち込み可)

開催場所:
一橋大学イノベーション研究センター 2階 会議室

幹事: イノベーション研究センター 清水洋